nabesuke-booklog’s blog

30代男性の読書感想ブログ

傲慢と善良

読み終わるまでの時間: 大体8~10時間

結局みんな大恋愛ということか〜...

婚活をする二人の男女の物語で、ちょうど自分も婚活をしていたこともあり、一気に話の中に引き込まれていきました。 自分と共通点があるというのは、物語を読む上でとても親しみやすく感じます。 一方で、共通点がないにもかかわらず引き込まれる物語も存在していて、それはそれで素晴らしいと思います。

最初にこの本を手に取ったきっかけは、「ミステリー」というジャンルの本を探していて、たまたま目に留まったことでした。 なんとなく聞いたことがあったタイトルだったし、本の帯には「映画化」という言葉もあり、興味を引かれました。

ミステリーというカテゴリに属する本でしたが、正確には恋愛ミステリーというジャンルだそうです。 あまり本を読んでこなかった自分には、そういったカテゴリがあることすら知りませんでした。 自分が当初読みたかった「ミステリー」とは少し異なるジャンルだったようです。

ただ、読み進めていくうちに冒頭で述べたような共通点を見つけることができ、途中で飽きることなく読み進められました。

物語は男性視点・女性視点のそれぞれの構成で分かれています。 最初は男性側の視点から始まり、女性が失踪するところから物語が展開します。ミステリー要素は満載です。 先ほども書いたように、自分も婚活をしているのですが、まさに女性の行動や態度は男性には理解しづらく、まるでミステリーのように感じます…。 日々、自分自身も小さなミステリーを体験しているような気がします。

女性視点の第二部では、真相が徐々に明らかになっていきます。

物語の随所で都会と地方の対比が描かれている点も、物語に入り込む手助けになったように感じました。 地方特有の人間関係や生きづらさに苦悩する女性視点の描写には、少し共感できる部分もありました。 自分は男性なので、それほど周囲からとやかく言われることはありませんでしたが、それでもいい歳になると親戚の集まりや実家で「いつ結婚するんだ」「孫の顔が見たい」といった声を耳にすることがあります。 女性の立場であれば、さらに大きな圧力がかかるのだろうと想像できます。

この物語は、そんな女性の焦りや葛藤が引き起こした事件を軸に進められています。

女性の失踪後の話では、彼女が成長し、過去の自分を見つめ直す時間が描かれています。 その中で、登場人物たちの心情が丁寧に描かれており、読んでいる自分にも思い当たる部分があることに気付きました。 自分の狭い視野で物事を考えてしまいがちですが、冷静になって相手の立場を想像してみると、自分の考えや振る舞いが軽はずみなものに感じられることがあります。 この描写には彼女の心の変化を感じるとともに、自分自身にも何かを訴えかけられているような気持ちになりました。

「今の若い人たちって、人に言われないと自分たちが恋愛しているのかどうかもわからないのか」 ある登場人物のこの言葉には、思わずドキッとさせられました。 確かに些細な喧嘩や悩み事は、本人たちにとっては大きな問題でも、周りから見れば恋愛の醍醐味や惚気のように感じられるのかもしれません。

エンディングに向かう展開では、自然と頭に浮かんできた景色がありました。それが文章からイメージしたものなのか、自分の想像力によるものなのかはわかりませんが、とても綺麗で暖かな景色に感じました。

映画化されているとのことなので、映像も見てみようと思います。 文章で感じた感想をそのまま胸に映像を楽しみ、ガッカリしないことを願っています!

情熱プログラマー ソフトウェア開発者の幸せな生き方

読み終わるまでの時間: 大体10時間程度

悩んでいたこれからの生き方にヒントをくれた

自分はプログラマーです。 今、自分のキャリアに悩んでいます。 それもあって、この本を手に取りました。

この本には技術的な内容はほとんど書かれていなくて、エンジニア・プログラマーとして姿勢、心のあり方といった精神面の内容が記載されています。

正直、どこかでみたような内容、他の自己啓発本でも書いてある内容も多々ありました。

それでも、今の自分に必要だった内容もある程度含まれていたような気がします。 一番最後に書かれていた好奇心の話はまさにそれで、今、自分は仕事を楽しめているのか疑問に思いました。

楽しむためのプログラミングは業務を通して取り組むことができません。 業務時間のひと枠に勉強会というものもありますが、基本は業務を通して知り得た情報の共有会です。 全く新しい技術に、好奇心だけで取り組む機会が薄れているのを感じます。

このように書いてみたものの、仕事を楽しむというのは自分自身の気の持ちようなのかもしれません。 「余裕がない」といえばそれまでで、余裕が持てるように努力をしていく必要があると思います。

短期的なものの考え方や目の前のことに視線を奪われがちの近頃ですが、今一度自身のプログラマーとしてのキャリアを考え直すための一冊となりました。

若手エンジニアにももちろん大事なことがたくさん書いてありますが、ある程度年齢が高くなってきたエンジニアにも今一度考え直してもらいたい内容が書かれた一冊でした。

Z世代のアメリカ

読み終わるまでの時間: 大体10~12時間

アメリカ大統領選を終えて、知らなかったアメリカが見えてきた

アメリカ大統領選の前に読み始めましたが、読み終える前にトランプ大統領の再選が決まってしまいました。 先にお伝えすると私は日本人なので、どちらの応援をしていたというのはないのですが、 報道やSNSなどの情報からトランプ大統領の再選が濃厚であると考えていました。

そう考えた背景として、アメリカ国内での大きな分断があります。 この本にはそうした分断の話、歴史的経緯、Z世代(18〜29)がそのことについてどう捉えているかが書かれています。 世代間の格差やジェンダー、経済格差、人種差別など、様々な要素が複合的に絡み合って大きな分断が起こっているようです。 日本ではあまり考えられないような状況ですが、今後、日本も外国人労働者の受け入れが盛んになり、超後期高齢者が増え続けて行けば似たような状況は起こり得ると感じました。

これまでの日本はアメリカをお手本に民主主義を進めてきたと思いますが、この状況を目の当たりにして、これまで通りには行かないなと考えます。

今回のトランプ大統領の再選はこうしたアメリカ国内の分断が引き起こした結果だと思います。 Z世代は親世代と比べて確実に貧しくなるらしいです。 Z世代にはそうした危機感があり、経済政策、国内を中心とした政策が魅力的に映ったのでしょう。

この本で改めて認識したのはアメリカのダブルスタンダードです。 ウクライナ・ロシアの紛争を非難する一方で、イスラエルパレスチナの紛争には曖昧な態度をとる、といったことです。 これが”政治的”な問題なのだな、と理解しました。

日本国内にいても多くのメディアは偏った報道をしていると感じます。 あらゆる情報源、歴史的経緯から正しく判断する力がこれからはより必要になってくる、そんな感想を持ちました。

エレファントヘッド

読み終わるまでの時間: 大体8~10時間

ミステリー小説の面白さを知った

この本を読もうと思ったのには2つの理由があります。 1つは知人にミステリー小説が好きな人がいて、その面白さについて感想を聞いて、ミステリー小説自体に興味を持ったこと。 もう1つはYouTubeのあるチャンネルで「安野貴博」さんがこの本を紹介していたこと。 この2つでした。

ミステリー小説に限らず、小説はあまり読まないタイプですが、この本の世界観にドンドン引き込まれていきました。 元々理系の人間ではあるので、所々に出てくる理系の知識が必要そうな解説や、医学関連の話など、小難しい感じが余計に良い感じでした。

グロテスクな表現も多々あります。 最初こそ、「苦虫を噛んだ」ような感覚を覚えましたが、世界観に引き込まれていくうちに慣れました。 文章でこういう気持ちにさせられるというのは、現代の動画社会の中ですごいことだなと感じました。

話の内容に関してはネタバレになるので、それほど詳しく書くつもりはありません。 しかし、「タイムリープ」「パラレルワールド」というキーワードが好きな人には刺さるのではないでしょうか。

外で読むこともあったのですが、表現がグロテスクすぎる部分もあり、周りの人に見られないかな、と少しヒヤヒヤしました。

途中で出てくる架空の商品名や街名などはあえてフィクション感強めな感じにしてたのかな、という感じでした(笑)。

半分くらい読み進めてからは一気に読みました。 読む間隔を開けてしまうと直前に読んだ内容を思い出すのに苦労するのと、面白さを半減させたくなかったからです。 後半にかけての怒涛のタネ明かしはとても読み応えあります。

これからは他のミステリー小説も読んでみたいと思います。

DD(どっちもどっち)論 「解決できない問題」には理由がある

読み終わるまでの時間: 大体6~7時間

あらゆる問題は視点で変わる

様々な社会問題の構造を「どっちもどっち」という視点で書かれていました。 橘玲さんの本は比較的好きでよく読んでしまいます。 今回も痛烈でした。 読み進めていくと、最終的に「メディア」の報道の偏りに対して言及しています。

最近、YouTubeなどでテレビニュースを見る機会があります。 たまに司会の人が恣意的に煽るような質問をゲストに投げかけたり、一方的な意見を言う場面を見ます。 その瞬間を見ると自身もメディアに対して批判的な感情を抱くことがあります。 あらゆる問題はどうしても片方によった見方をしがちですが、どっちもどっちという視点を持って正しく見極めたいですね。 そういう気持ちにさせてくれる一冊でした。

未来をはじめる

読み終わるまでの時間: 大体6~7時間

ちょうど選挙が近くて読むタイミングがよかった

この記事を書いているのはちょうど2024年の衆議院議員総選挙アメリカ大統領選挙が迫って来ている10月下旬。

この本は今から5~6年前くらいに書かれた本で内容は少し古いです。 AIの技術に対する懸念も書かれていましたが、まだそれほど驚異として捉えられていない感じがありました。 この本に書かれている内容と現在の感覚にはギャップがあり、この短い期間にAIの技術が急速に発展し、生活に取り込まれている感じがして、技術の発展の速度に驚愕しました。

グローバル化の弊害についても書かれていました。 第一次トランプ政権のことやイギリスのブレグジットのこと。 グローバル化と民主主義の相性が悪い、ということが書かれていて、 この本が書かれた当時よりさらに世界は悪くなっていると感じます。

本の構成的には学生向けの講義を切り出したような形になっていて、著者が様々な問題提起を行うスタイルです。 どことなくマイケル・サンデル氏の本に似ている気がします。 当時はそのスタイルが流行っていたのでしょうか…

個人的には、政治・選挙の仕組みみたいな基本的なことも書かれていたので、直近の選挙に対して興味が持てました。

最後に、プラグマティズムの話が出てきます。 有名な名言でいえば下記ではないでしょうか。

心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。

この世界も同じで少しずつしか変わらない、個人が変わることで社会が変わる、という話がありました。

この意見には大筋で賛成します。 どのように変わるかは別として、少しずつしか変えられることはできない、そう感じます。 今、自分もそういうことを考える年代になろうとしており、学生向けの講義の内容とはいえ、改めて問題意識を持てるようになりました。

「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない

読み終わるまでの時間: 大体4~5時間

 

このブログをやろうと思ったきっかけの1冊

言語化したい」がこの本を読むきっかけでした。

文章にしろ、言葉にしろ、すぐに自分の考えがでてこないのが悩みで、何かの役に立つのではないか、と読み始めました。

 

最初は「文章オタクの人が主観的なことをツラツラ書いているな」「同じことを繰り返し書いているな」という考えを持ち、読みながらあまり共感を持てないでいました。

 

後半に入ると具体例が出てきて、著者の三宅香帆さんが”良い”と感じている文章や”悪い”と感じている文章が比較されてました。

他の方が書かれた書評のここが良いということも解説されており、「なるほど、読みたくなる文章だ」と共感できました。

 

「他人の言葉」に感化されたり、自分の意見を捻じ曲げられないように注意して、と書いてあった気がするけれど、この解説を読んでいるときは完全に自分の意見のように感じて読んでいました。(こういうことだな…気をつけよう)

 

自分自身、こういう読みたくなるような文章を書いてみたいし、自分の言葉で書くことでもっと自分のことを知りたいと思ったから、こうして文章をブログに書いています。

とりあえずは、「書き終えること」を目標にしばらくは続けていこうと思います。