読み終わるまでの時間: 大体8~10時間
結局みんな大恋愛ということか〜...
婚活をする二人の男女の物語で、ちょうど自分も婚活をしていたこともあり、一気に話の中に引き込まれていきました。 自分と共通点があるというのは、物語を読む上でとても親しみやすく感じます。 一方で、共通点がないにもかかわらず引き込まれる物語も存在していて、それはそれで素晴らしいと思います。
最初にこの本を手に取ったきっかけは、「ミステリー」というジャンルの本を探していて、たまたま目に留まったことでした。 なんとなく聞いたことがあったタイトルだったし、本の帯には「映画化」という言葉もあり、興味を引かれました。
ミステリーというカテゴリに属する本でしたが、正確には恋愛ミステリーというジャンルだそうです。 あまり本を読んでこなかった自分には、そういったカテゴリがあることすら知りませんでした。 自分が当初読みたかった「ミステリー」とは少し異なるジャンルだったようです。
ただ、読み進めていくうちに冒頭で述べたような共通点を見つけることができ、途中で飽きることなく読み進められました。
物語は男性視点・女性視点のそれぞれの構成で分かれています。 最初は男性側の視点から始まり、女性が失踪するところから物語が展開します。ミステリー要素は満載です。 先ほども書いたように、自分も婚活をしているのですが、まさに女性の行動や態度は男性には理解しづらく、まるでミステリーのように感じます…。 日々、自分自身も小さなミステリーを体験しているような気がします。
女性視点の第二部では、真相が徐々に明らかになっていきます。
物語の随所で都会と地方の対比が描かれている点も、物語に入り込む手助けになったように感じました。 地方特有の人間関係や生きづらさに苦悩する女性視点の描写には、少し共感できる部分もありました。 自分は男性なので、それほど周囲からとやかく言われることはありませんでしたが、それでもいい歳になると親戚の集まりや実家で「いつ結婚するんだ」「孫の顔が見たい」といった声を耳にすることがあります。 女性の立場であれば、さらに大きな圧力がかかるのだろうと想像できます。
この物語は、そんな女性の焦りや葛藤が引き起こした事件を軸に進められています。
女性の失踪後の話では、彼女が成長し、過去の自分を見つめ直す時間が描かれています。 その中で、登場人物たちの心情が丁寧に描かれており、読んでいる自分にも思い当たる部分があることに気付きました。 自分の狭い視野で物事を考えてしまいがちですが、冷静になって相手の立場を想像してみると、自分の考えや振る舞いが軽はずみなものに感じられることがあります。 この描写には彼女の心の変化を感じるとともに、自分自身にも何かを訴えかけられているような気持ちになりました。
「今の若い人たちって、人に言われないと自分たちが恋愛しているのかどうかもわからないのか」 ある登場人物のこの言葉には、思わずドキッとさせられました。 確かに些細な喧嘩や悩み事は、本人たちにとっては大きな問題でも、周りから見れば恋愛の醍醐味や惚気のように感じられるのかもしれません。
エンディングに向かう展開では、自然と頭に浮かんできた景色がありました。それが文章からイメージしたものなのか、自分の想像力によるものなのかはわかりませんが、とても綺麗で暖かな景色に感じました。
映画化されているとのことなので、映像も見てみようと思います。 文章で感じた感想をそのまま胸に映像を楽しみ、ガッカリしないことを願っています!